歴史や宗教、日本文化論などを幅広く論じた哲学者で、元京都市立芸術大学長の上山春平(うえやま・しゅんぺい)・京都大名誉教授が8月3日、パーキンソン病のため京都市右京区太秦垂箕山町の自宅で死去した。91歳。葬儀・告別式は近親者で営まれた。喪主は次女あゆみさん。
上山氏は日本統治時代の台湾出身。1943年に京大文学部を卒業。海軍予備士官として第二次大戦に従軍。戦争中に人間魚雷回天の特攻隊員として2度、出撃した経験を持つ。戦後、京大人文科学研究所で教授、所長を経て名誉教授になり、京都国立博物館長も務めた。
西洋哲学研究から始まり、論理学や国家・天皇制などを骨太に論じ、「空海」「仏教思想の遍歴」「神々の体系」など力作を次々に発表した。また、戦争体験を基に日本の国際貢献や国連問題についても発言。88年に紫綬褒章受章、94年に文化功労者、98年に叙勲二等授旭日重光章を受章している。